カポックダウン

植物由来の「カポックダウン」とは?超軽量でエシカルな新素材

ダウンとは、ガチョウやアヒルなど水鳥の胸に生えている毛を言います。ふわふわとして軽く保温性にも優れているため、ダウンコートや羽毛布団などの原料として使われます。近年は、動物保護や環境保全の観点から、植物由来の繊維原料「カポック」に注目が集まっています。

今回は、この繊維原料カポックについてご紹介します。

カポックダウンとは?

「カポックダウン(Kapok down)」とは、「カポック」という樹木の果実から採れる綿のことです。

カポックはアオイ科セイバ属の樹木で、熱帯アメリカや西アフリカを原産とします。赤道ギニア共和国の国花としても知られています。

カポックは、インドネシアなど東南アジアに自生しています。 果実はゴーヤやバナナに似た細長い形状で、いくつかまとまって実るのが特徴です。

果実の皮は最初は青々としていますが、収穫時期になるとだんだんと乾燥して茶色味を帯びて硬くなります。硬い皮を割ると、中にふわふわの綿が詰まっています。その綿がカポックダウンです。

カポックの木は厳しい環境でも育ちやすく、強い農薬や頻繁な水やりは不要です。また果実から綿を採取できるため、木を伐採する必要もありません。そのため、カポックダウンはSDGsの環境保護の観点からも注目されています。

その特性から「木に実るダウン」とよばれることもあるようです。ダウンベストやダウンコート、シャツなど、さまざまな衣類の素材に用いられ始めています。

カポックとシェフレラの違い

ちなみに、ウコギ科シェフレラ属(フカノキ属)の樹木である「シェフレラ」もカポックとよばれることがあります。シェフレラは観葉植物としてもおなじみですが、本記事でご紹介するカポックダウンが採れるカポックとは別物です。

カポックダウンの特徴

カポックダウンにはさまざまなメリットがあります。通常の綿(コットン)との違いを比較しながら、カポックダウンの特徴を3つご紹介します。

超軽量である

カポックダウンの重量は、綿(コットン)の約8分の1と非常に軽量です。

その理由は、カポックダウンは綿の内部が空洞になっていることが挙げられます。体積における隙間の割合を表す空隙率(くうげきりつ)は80%といわれており、カポックダウンは内部のほとんどが空洞であることがわかります。

吸湿発熱するため、保温性に優れる

カポックダウンには、湿気を吸って暖かくなる「吸湿発熱」という性質があります。外から吸収された湿気は、カポックダウン内の空洞の中で発熱して、「吸着熱」とよばれる暖かさを生み出します。余計な湿気は外に放出されます。生み出された熱は空洞の中に閉じ込められ、空気の層ができることで保温効果が長く続くのです。

抗菌性が高い

カポック自体に苦味があるため、虫が寄り付きません。そのため、非常に抗菌性が高い素材となります。

繊維が短い

カポックダウンの繊維は直線状で短いため、糸や織物にすることはできません。

そのため、綿花の代替品としての利用に留まるケースが多く散見されます。

枕やぬいぐるみなどの詰め物や、救命胴衣(ライフジャケット)の浮力材といった製品の素材として用いられてきましたが、近年は加工技術の進化によって、ジャケットやコートの素材に利用するケースが増え始めています。

カポックダウンが環境に優しい理由

カポックダウンは環境負荷が非常に低く、SDGsの観点からも関心を集めています。環境に優しい理由を解説します。

農薬や化学肥料などが不要

インドネシアを中心に自生するカポックは、乾燥した土壌、高い気温など、厳しい環境下でも問題なく育ちます。そのため、コットンなどとは異なり、農薬や化学肥料を使用することなく、栽培が可能となります。

木を伐採する必要がない

カポックダウンは、果実の中にできた綿を採取するため、木を伐採する必要がありません。1本のカポックの木には300個以上の実がなり、50年ほどにわたって実を収穫し続けられるといわれています。

製造時に使う水の量を削減できる

一般的なコットン製品は、原材料になる綿花の育成に多くの水を必要とします。綿のTシャツ1枚を製造するのに使用される水量は2,720リットルにも及ぶという推計もあり、いかに水資源に影響があるかがわかります。

カポックダウンは、先に書いたように、厳しい環境下でも問題なく育つため、多くの水を必要としません。

まとめ

カポックダウンは、超軽量で暖かさが続く素材です。さらに環境負荷が少ない点でも、ファッション業界における環境問題の一助を担う素材となるかもしれません。

今後さらに普及していく可能性の高いカポックダウンに、ぜひ注目してみてください。


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