金属アレルギーの中でも、最も多いとされるのがニッケルを原因とするアレルギーです。アレルギーを発症すると、かゆみやかぶれ、腫れだけでなく、ひどい場合は発熱や倦怠感などの症状が出る場合も。
しかし、金属の部位が含まれたアイテムを身につけて、おしゃれを楽しみたいですよね。
そんな方におすすめなのが「ニッケルフリー」。極力ニッケルを含まずに作られた素材のことをいいます。今回は、ニッケルフリーの素材の特徴について解説します。
ニッケルフリーとは?
ニッケルフリーとは、ニッケルを極力含まずに作られた素材を指します。
そもそもニッケルとは、遷移金属のレアメタルの1つで、酸に弱い性質を持ちます。そのため、汗などによって体内に溶け出してしまい、金属アレルギー症状を引き起こします。
ニッケルフリーとノンニッケルの違い
ニッケルフリーは、ごく微量のニッケルを含みますが、ノンニッケルはニッケルを一切含みません。ただし、これはあくまで厳格な基準が定められているヨーロッパ圏での話になります。
日本ではニッケルに関する規制が存在しないため、ニッケルフリーやノンニッケルの区別が明確になされておらず、メーカーによって定義が異なります。
ニッケルフリーとサージカルステンレスの違い
ニッケルフリーとは、金属の名称ではなく、あくまでも素材の特徴を指します。ニッケルフリーでも、素材としては18金や真鍮(しんちゅう)などあり、「ニッケルフリーの18金」のように表現されます。
サージカルステンレスは、ステンレスの一種です。実は、サージカルステンレスはJIS規格での正式な規定がなく、SUS316、SUS316Lなどいくつかのステンレス素材をサージカルステンレスと呼んでいるようです。
サージカルステンレスは、もともとは医療器具などに使われていた金属です。熱や酸化、錆びに強い特徴をもち、金属アレルギーのリスクが少ないことから、ボディピアスにもよく用いられます。
しかしサージカルステンレスは、微量ながらニッケルを含むため、サージカルステンレスでも金属アレルギーを引き起こす可能性はあります。
ニッケルフリーの特徴
ニッケルフリーの特徴を、メリットとデメリットの両面からご紹介します。
金属アレルギーが起こりづらい
ニッケルフリーの大きな特徴は、金属アレルギーが起こるリスクを軽減できることです。
そもそも、金属アレルギーとは、金属部分が人の肌に触れたときに、金属に含まれるイオンが皮膚中に溶けだし、一定量を超えると体が異物と判断してアレルギー反応を起こす現象です。
発症すると、かゆみやかぶれ、腫れ、痛み、発熱などを伴います。
特に、ニッケルは数ある金属のなかでも、金属アレルギーを引き起こす可能性が高い素材です。そのため、ニッケルフリーの需要は高いといえます。
ただし注意すべきは、ニッケルフリーでも微量のニッケルを含む可能性がある点です。ニッケルフリーの製品でも、100%金属アレルギーが起こらないとは言い切れないので、気を付けましょう。
錆びやすい・色落ちしやすい
ニッケルフリーは、どうしても錆びやすく色落ちしやすいデメリットを持ちます。
ニッケルは、不動態(ふどうたい)被膜を形成し、金属の表面をコーティングしています。この被膜によって、金属内部の腐食や酸化を抑え、光沢が出たり、錆びなくなったり、キズが付きにくくなったりします。
しかし、ニッケルを減らすことでこの被膜がなくなり、サビや色落ちの進行が早くなってしまいます。
ニッケルフリーのお手入れ・保管方法
ニッケルフリーの製品は、前述のとおり、ニッケルの不動態(ふどうたい)被膜がないため、錆びやすく変色も起こりやすいです。
汗や皮脂などが付いたままだと、酸化や硫化を起こし、黒ずみや錆びの原因になります。
ニッケルフリーを含む製品を使用した後は、やわらかい乾いた布で表面を拭きとります。
また、保管は直射日光が当たらず湿気が少ない場所で、巾着や箱に入れておきましょう。