ヌバックレザーとスエードとの違いは?お手入れ方法や経年変化について

ヌバックレザーとスエードとの違いは?お手入れ方法や経年変化について

秋冬の寒い季節に人気のある革「ヌバック」。温かみがあり、やわらかく手になじむ起毛加工が心地良い人気の革です。

このヌバック、一体どのような革なのでしょうか?今回はこのヌバックの魅力や特徴について解説します。

ヌバックとは?

ヌバックとは起毛革の一種です。

ヤスリ(サンドペーパー)などザラザラしたもので革の表面を軽くこすることで、毛羽立った表面になります。素材は牛革が多いですが、なかには豚革のヌバックもあります。

もともとヌバックは鹿の革が主流でした。「nubuck(ヌバック)」の「buck」は英語で「牡鹿(おじか)」を意味します。

頭の「nu-」は「新しい」の意味です。 もともと牡鹿の革は「バックスキン」として存在していました。しかし牡鹿の皮が希少だったため、代替品として「新しいバックスキン」の意味のヌバックになったとの説があります。

毛羽立ってはいるものの、毛足は短く手で触れるとしっとりとやわらかく感じます。この起毛加工ならではのなめらかな質感がヌバックの大きな魅力です。

財布やバッグ、パスケース、腕時計のストラップなどさまざまな革小物に使われています。厚みがあって頑丈な性質から、ブーツや登山靴などにも用いられています。

ヌバックとスエードの違い

ヌバックとスエードの大きな違いは、起毛する面の裏表と毛足の長さ、革の厚みです。

ヌバックは革の表面をヤスリがけして起毛加工します。毛足は短く、全体的になめらかな感触です。さらに革は厚みがあり頑丈です。

一方、スエードは革の裏ヤスリがけして起毛させています。革表面は毛足が長く、ヌバックよりもフサフサした手触りになります。革は全体的に薄くデリケートです。 スエードに使う革は豚革が主流です。

ヌバックの特徴

続いてヌバックの特徴を3つご紹介します。

特徴1.やわらかくしっとりとした触り心地

ヌバックの最大の特徴は、手触りの良さです。 目の細かいヤスリやサンドペーパーで革の表面を均一に削っているため、独特な起毛が生まれます。短い毛が均等に革表面を覆っているので、触るとしっとりと手になじみます。

特徴2.厚みがあり、かつ耐久性が高い

同じく起毛革のスエードは薄く繊細な革ですが、ヌバックは厚さがあるため、さまざまな製品に使えます。 耐久性も高く、登山靴などの素材としてもよく使用されます。

特徴3.マットな質感

ヌバックは表面を起毛加工しているため、光沢のないマットな質感です。オイルレザーや合成皮革のように、つるつるとしたツヤのある質感ではありませんが、使い続けるうちにほんのりとツヤを増す起毛加工の美しさはヌバックならでは。その質感は温かみを感じさせ、春夏よりは秋冬のファッション小物にマッチします。

関連記事:オイルレザーとは|経年変化(エイジング)やお手入れ方法について

ヌバックの経年変化(エイジング)

ヌバックは、どのように経年変化(エイジング)するのでしょうか? まず表面の起毛加工は、使い始めだと短い毛が立った状態です。使い続けるうちに、毛が寝てきて革になじむようになっていきます。毛並みがだんだんフラットになってキメが整ってくるので、最初よりも光を反射してうっすらと輝きが出てきます。

色合いも変化します。使ううちにじんわりと革の色味が濃さを増していきます。毛並みの変化と相まって起こるヌバックならではの独特な質感の変化は、見ていて飽きません。

ヌバックのお手入れ・ケアについて

最後にヌバックのお手入れ方法を解説します。 ヌバックのような起毛革は一見お手入れが難しそうですが、正しい道具と正しい方法でお手入れをすれば意外と簡単です。

ヌバックのお手入れの基本はブラッシングです。 またヌバックは水に弱いので、どの方法でもお手入れの最後には必ず防水スプレーをかけましょう。

汚れが目立ったら

ヌバックの表面は起毛しているため、毛先に汚れやほこりがつきやすいです。汚れが気になってきたら、革用ブラシで毛の中に溜まったほこりや汚れを落とします。ブラッシングする方向はどちらからでもOKですが、毛の流れと反対方向にブラッシングすると毛が逆立ってほこりが取れやすくなります。最後には毛の流れに沿ってブラッシングして整えましょう。

ブラシは、スエードやヌバック専用のワイヤーブラシやスプラッシュブラシ(ゴム製のブラシ)、馬毛ブラシや豚毛ブラシなどがおすすめです。靴の縫い目など細かいほこりが溜まりやすい部分は、歯ブラシを使うのも手です。全体はブラッシングだけでも十分ですが、部分的な汚れにはスエード用の汚れ落とし消しゴムを使いましょう。普通の消しゴムのようにこするだけで、汚れを薄くできます。

傷がついてしまったら

ヌバックのような起毛革は、他の革に比べて傷がつきにくいです。多少の傷は起毛した毛の中になじんであまり目立ちません。

もし気になる傷ができてしまった場合は、表面の毛並みが乱れていたり寝ていたりするのが原因であることが多いです。傷ついた部分を中心に、専用ブラシでやさしくブラッシングすると傷が目立たなくなります。ブラッシングしたあとに、スエードやヌバックなど起毛革専用の栄養補給ミストで保湿するとベターです。

水シミ・雨シミができてしまったら

ヌバックやスエードなどの起毛革は、水が染み込みやすくシミになりやすいです。シミを防ぐためにも、使う前には防水スプレーをかけることが大切です。 もし水シミや雨シミができてしまったら、シミが定着する前に早めにお手入れをしましょう。

薄いシミなら、軽くブラッシングすればOKです。それでも、シミがとれない場合は、革用のやすり(サンドペーパー)でシミ部分を軽くこすります。力強くこすると逆に傷になってしまうので、軽い力でやさしくこするのがポイントです。

それでもシミが落ちなければ、シミ抜きをします。 ウエスなどのやわらかい布を濡らし、ギュッと強めに絞ります。びしょびしょに濡れた布だと余計にシミが広がってしまうので、必ずきつめに絞ってください。その布でシミの部分を中心に、軽くポンポンと湿らせていきます。軽く色が変わるくらいでOKです。 その後、日光の当たらない場所で自然乾燥すれば、シミはほとんど消えているはずです。

色あせてきたら

お手入れをせずに放置すると、汚れが溜まって色が変わって見えてくることがあります。日焼けによる色あせも起こります。そのような色あせが気になってきたら、専用のグッズを使って色を補いましょう。

必要なのは革用の補色剤です。広範囲に吹きかけられるスプレータイプやミストタイプ、ピンポイントで使えるスポンジタイプなどがあります。例として、スプレータイプで補色する方法をご紹介します。

まずヌバックをブラッシングして汚れやほこりを落とします。色を付けたくない部分はマスキングテープなどでカバーしましょう。床が汚れないように新聞紙の上にヌバック製品を置き、全体に補色スプレーをかけてそのまま自然乾燥させます。直射日光は避け、風通しの良い場所でしっかり乾かします。 乾いたら防水スプレーをかけて再度乾かして、毛並みを軽くブラッシングして整えれば完成です。

まとめ

起毛革は一見扱いが難しそうですが、お手入れのコツさえわかればきれいな状態で長く使い続けることができます。しっとりと肌になじむ質感と頑丈さを合わせ持った魅力的な革、ヌバック。丁寧にお手入れして、その使い心地の良さを体感してみてください。


Related Products


Related Blog


2022/05/01

革の「コバ」の意味とは?コバ処理の種類や補修・手入れ方法について

革製品には必ずある「コバ」という部分をご存じでしょうか?...

2022/04/27

ヌバックレザーとスエードとの違いは?お手入れ方法や経年変化について

秋冬の寒い季節に人気のある革「ヌバック」。温かみがあり、やわらかく手になじむ起毛加工が心地良い人気の革です。...

イタリアで古くから伝わるバケッタレザーとは|エイジング(経年変化)が楽しめる皮革

革の本場といえばイタリアです。多くの老舗タンナーが長い歴史を紡ぎながら今日も上質な革を作り続けています。今回はイタリアで生まれた伝統的な皮革「バケッタレザー」について解説します。...