革の表面加工には、顔料で着色したり、オイルを染み込ませてツヤを出したりとさまざまな方法があります。そのなかでも、今回は革を縮めて独特な魅力を引き出す加工「シュリンク」についてご紹介します。
シュリンクレザーとは?
「shrink(シュリンク)」とは、英語で「縮む、収縮する」を意味する言葉です。その名がついたシュリンクレザーは、まさに革表面に縮む加工を施された革です。
革のもとになる原皮(げんぴ)は皮下部分と銀面(ぎんめん)と呼ばれる表面層の2層構造になっています。
この2層は繊維構造が異なるため、タンニンで鞣すと銀面のみ縮みます。これがシュリンク加工です。この加工によってできた細かいシワ「シボ」が、シュリンクレザーの最大の特徴です。
さらに収縮させることで革質はやわらかくなり、触り心地が良くなるのもポイントです。
シュリンクレザーとソフトレザーの違い
シュリンクレザーと似ている革に「ソフトレザー」があります。両者の大きな違いは、革表面のコーティング加工の有無です。
シュリンクレザーは表面にコーティング加工がされているため、キズがつきにくいメリットがあります。
一方ソフトレザーは、鞣したあとコーティング加工もシボ加工もされていないままの革を言います。そのため、より革本来の素朴な風合いを楽しめます。ただし表面に加工が施されていないため、キズがつきやすくなります。
シュリンクレザーの種類について
シボが特徴的なシュリンクレザーですが、加工方法には大きく2種類あります。
型押し加工
1つは型押し加工です。革にシボ模様の型を押し当ててスタンプのように模様をつけます。型があるので均一なシボがつきやすく、革質は少し硬めの仕上がりになります。この加工によってできたシュリンクレザーは、型押しを意味するemboss(エンボス)から、「エンボスシュリンクレザー」もしくは「シュリンクエンボスレザー」とも呼ばれます。
薬品仕上げ
もう1つが薬品を使う方法です。特別な収縮剤を使って革表面を収縮させ、シボを作り出します。革本来のシワがそのまま縮んでシボになるので、シボの大きさや配置は均一になりません。しかし型押し加工よりもやわらかい革質になり、自然な風合いを楽しめます。
シュリンクレザーの特徴
シュリンクレザーの特徴は大きく分けると以下の3つになります。
革表面のシボ
シュリンクレザーの大きな特徴が革表面のシボです。細やかなシボは見た目もやわらかく、なめらかなスムーズレザーとは違う上品な雰囲気があります。
キズに強い
収縮加工によって革表面が縮んでいるため密度が高く、耐久性も上がります。もしキズがついても、シボ模様のおかげで目立つこともありません。毎日使うバッグや財布にぴったりの革です。
見た目よりも軽量
密度が高いため重量があるイメージがありますが、見た目以上に軽くてやわらかく、主にバッグの素材として人気があります。
シュリンクレザーの経年変化(エイジング)
長く使うにつれ、革の色合いやツヤがだんだんと経年変化(エイジング)する様子を見れるのは、革製品をもつ醍醐味の1つです。
しかし、残念ながらシュリンクレザーは経年変化(エイジング)があまり起こりません。製造する過程で収縮加工が施されているので、長く使い続けてもあまり質感に変化がないためです。
新品時の風合いや色合いをそのままキープしながら長年使い続けたい方に向いています。
シュリンクレザーの手入れについて
ここではシュリンクレザーを長持ちさせるために知っておきたいお手入れ方法についてご紹介します。
普段のお手入れについて
まず、革表面についたほこりや汚れを落とします。基本的には乾いたやわらかい布で革表面をやさしく拭き取ればOKです。
シボの細かい溝にほこりや汚れがたまっているときは、革お手入れ用のブラシで軽く払いましょう。毛質がやわらかく革を傷つけない馬毛のブラシがおすすめです。
また、シュリンクレザーは水濡れにも弱いので、使う前には全体に防水スプレーでコーティングしておくことをおすすめします。
ぱさついてきたら
使い続けるうちにどうしても革表面が乾燥してパサついてきます。革表面の乾燥が気になったら、クリームを使ったお手入れを行いましょう。
まず、乾いたやわらかい布の先にお手入れ用クリームをつけ、革表面にまんべんなく塗ります。
一度に多量のクリームを塗るとシミになってしまう恐れがあるので、クリームの量は少量で十分です。また、塗るときも力強くこすらずに、革表面に軽くすべらせるように塗っていきます。
革全体にクリームを塗り終えたら、別の乾いた布で全体を乾拭きし、革表面に残った余計なクリームを取り去ります。
クリームが完全に乾くまで陰干しすれば、お手入れは完了です。
CRAFSTOが提供するシュリンクレザーの商品について
CRAFSTOでもシュリンクレザーを使ったオリジナル商品を展開しています。
CRAFSTOが扱っているシュリンクレザーは、革大国イタリアの有名タンナー「Lo Stivale(ロ・スティヴァーレ)社」が製造する「ネブラスカ(NEBRASKA)」。
植物性タンニンで牛皮をなめしたあと、じっくりと時間をかけてオイルを染み込ませ、「空打ち(からうち)」を行います。
空打ちとは、大きなドラム缶のような機械の中になめした革を入れ、ぐるぐると回転させてもみほぐす作業です。何時間も空気を含みながらもみほぐされた革は、繊維がほぐれてやわらかくなり、密度の高いシボが浮かび上がります。
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