キラキラと、美しい光を反射するツヤが特徴の馬革「コードバン」。イタリアのイトスカーナ州にあるタンナー、ROCADO(ロカド)社では、伝統技術を用いてコードバンを製造しています。
今回は同社が作る「ロカドコードバン」に焦点を当てて解説。
ロカドコードバンとは?
ロカドコードバンとは、イタリアのタンナーROCADO(ロカド)社が製造するコードバンです。
イタリア、なかでもトスカーナ州は現在も数多くのタンナーがある世界有数の革の名産地です。
同地区では、半世紀以上にわたって活動している老舗タンナーも多い中で、ロカド社の創業は1982年。創業当初は、馬の原皮を取引する業者でしたが、途中からコードバンの製造を始めたそうです。
後発組でありながらも、アメリカシカゴのホーウィン社(Horween Leather Company)や、姫路の新喜皮革(しんきひかく)に並び、シェルコードバンの有名タンナーとして知られています。
そもそもコードバンって何?
そもそも「コードバン」とはどのような革なのでしょうか。
コードバンは、農耕馬の臀部(お尻)から採取される革です。臀部の内部にあるコラーゲン繊維の層から削りだして作られます。
キラキラとした輝きを放つことから、「革のダイヤモンド」とも。
この薄いコラーゲン繊維を削りだすには、非常に高い技術力が求められると言われています。
なお、一頭から採取できるコードバンの量は限定され、かつ農耕馬は減少傾向にあるため、希少価値が高いです。
ちなみにコードバンも製法によって種類が分かれており、水染めコードバンや蠟引きコードバン、顔料染めコードバンなどがあります。
もっともポピュラーなのがオイルコードバン。ロカドコードバンも、このオイルコードバンの1つです。
関連記事:コードバンとは|手入れとエイジング(経年変化)【水ぶくれ・毛羽立ち・色あせ等】
コードバンとブライドルレザーの違い
コードバンと同じく人気の高いのがブライドルレザーです。
ブライドルレザーは牛革で、その昔、イギリスでクツワや手綱などの馬具として使われていた革です。馬の強い力にも負けないよう頑丈に作られており、革に塗りこまれた白いロウが特徴です。
コードバンは光を反射するようなツヤがありますが、一方のブライドルレザーは、革表面は白っぽくマットな質感で、使い続けるうちにロウが馴染んで本来の革の深みが出てきます。
また手触りも、コードバンはキメ細かくなめらかであるのにたいし、ブライドルレザーは硬くてハリがあります。
関連記事:ブライドルレザーとコードバンの違いとは?メリットとデメリットを徹底比較
ロカドコードバンの特徴
ロカドコードバンの主な特徴は、大きく以下の3つです。
バケッタ製法で作られている
ロカドコードバンは、バケッタ製法で作られたオイルレザーであること。
バケッタ製法とは、イタリアで何世紀にも渡って受け継がれている伝統製法です。植物性のタンニンでなめす、革の芯まで牛脂や魚脂などで加脂するといったプロセスを行います。
近年は、クロムなめしが主流です。クロムなめしとは、塩基性硫酸クロムを使用してなめす製法で、一度に100枚以上の原皮をなめすことが可能です。そのため、効率的に製品を大量生産するのに向いていますが、クロムなめしをした製品を焼却すると、有害な6価クロムに変化することが確認されており、近年は、環境汚染の観点からクロムなめし製法は規制に向かいつつあります。
一方、バケッタ製法は、樹木から採れる植物性のタンニンを使うタンニンなめしの1つで、クロムなめしと比較すると、時間と手間がかかりますが、環境負荷が少ないとして、再び注目が集まっています。
ロカド社はクロムや化学薬品を一切使用しないと表明しており、環境に優しいバケッタ製法を徹底しています。
関連記事:イタリアで古くから伝わるバケッタレザーとは|エイジング(経年変化)が楽しめる皮革
ハリとしなやかな質感がある
コードバン特有の硬いハリがありながらも、しっとりと手に吸いつくようななめらかさも兼ね備えています。
オイルが浸み込んでいるためにやわらかく、革靴や腕時計のベルトなど、曲がることが多いパーツでも割れづらいメリットも。
深い経年変化(エイジング)を楽しめる
ロカドコードバンは、経年変化(エイジング)を楽しめます。
時間が経つにつれて、革の芯まで浸透させたオイルが少しずつ溶けだして、革をやわらかくします。
さらにバケッタ製法で使われる植物性タンニンは、日光に当たることで酸化し、革の色をより深い色に変化させていきます。
関連記事:オイルレザーとは|経年変化(エイジング)やお手入れ方法について
豊富な色展開とユニークな模様付きもある
ロカドコードバンは、色や模様の豊富さもポイント。黒や茶色などのベーシックカラーから、鮮やかな赤や緑やピンクといったカラフルな色も揃っています。
さらにマーブル模様など特徴的なコレクションもあり、珍しいユニークなデザインを楽しめます。
ロカドコードバンのお手入れ方法
ロカドコードバンのお手入れは、一般的なコードバン製品と同じ方法でOK。普段のお手入れは、乾いた布で革表面のほこりや汚れを軽く拭きとる程度で十分です。
頻繁にオイルやクリームでお手入れする必要はありませんが、オイルが浸み込んでいる革なので、革表面がパサついてきたと感じたら、コードバン専用のオイルやクリームで保湿しましょう。
革用クリームやオイルを使うと、ロカドコードバンのツヤが曇ってしまうことがあります。必ずコードバン専用のケア製品でお手入れしてください。
また水溶性のクリームを使用すると、水ぶくれになることがあるため、注意しましょう。
CRAFSTOが提供するロカドコードバンの製品について
RocadoコードバンL字ファスナー財布
ロカドコードバンを使用したL字ファスナー財布。片手にすっぽり収まるサイズで、最低限の持ち物で過ごしたい方に適したアイテムです。
スリムながらも、L字ファスナーで財布全体が大きく開くため、中身を見渡しやすく、紙幣や小銭などが取り出しやすいのがポイント。
また、財布内部のセンターに小銭入れ、5つのカードポケットと、収納面でも申し分無しです。