エコレザー

エコレザーとは?フェイクレザーとは違う、地球環境にやさしい近未来のレザー

エコレザー

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アパレル業界では、製品の製造・廃棄にともなう二酸化炭素の排出、使用済の化学物質の河川への流出など、環境を脅かすさまざまな問題を抱えてきました。

このような問題を解決すべく、昨今アパレル業界では「SDGs(エスディージーズ)」や「エシカル消費」のような動きが高まってきつつあります。

そのなかで注目されているのが「エコレザー」です。エコレザーとは、本革の切れ端と天然素材の樹脂を混ぜて作られる革のことを言います。今回は、今後注目されるエコレザーの概要や特徴についてご紹介します。

エコレザーとは?

エコレザーは、本革の切れ端を再利用した天然素材の革です。

通常の本革は、大きな一枚の皮から必要な分を切り抜き加工します。

その際に出る革の切れ端と天然素材の樹脂を混ぜて作られます。英語での表記は「Eco leather」で、「Eco」は「Ecology(環境・生態)」を意味します。

エコレザーのポイントは、製造から輸送、販売、再利用までの全ての行程で環境負荷を減らし自然に影響が及ぼさないように行う点です。

特に注目すべきは、再利用の工程です。再利用する際にも革としての機能を損なわない、つまりSDGsにあるとおり「持続可能な」素材なのです。

このエコレザーの定義を唱えているのが「日本エコレザー基準(JES)」です。2006年に、NPO法人の日本皮革技術協会と一般社団法人の日本タンナーズ協会により基準が定められました。そこで認定されているエコレザーの主な要件は下記のとおりです。

  • 天然皮革であること。
  • 排水、廃棄物処理が適正に管理された工場で製造された革であること。
  • 臭気、化学物質(ホルムアルデヒド・重金属・PCP・禁止アゾ染料・発がん性染料の使用制限)および染色摩擦堅ろう度に関する一定の基準を満たしていること。

 

の3つです。認定された革製品は、「日本エコレザー基準認定ラベル」を表示してエコレザーを名乗ることができます。

エコレザー、フェイクレザー(合皮)、ヴィーガンレザーの違い

よく勘違いされるのですが、エコレザーはフェイクレザーとは別物です。フェイクレザーは人工の合成皮革のことを言います。基布(きふ)の表面に、ポリウレタン樹脂や塩化ビニル樹脂を塗布して本革のような質感を出します。一方エコレザーは天然の革から作られています。

さらに最近注目されているのが「ヴィーガンレザー」です。Vegan(ヴィーガン)とは「完全菜食主義者」という意味で、卵や乳製品はじめ一切の動物性食品を食べません。人によっては、食べ物だけではなく動物を使った製品も避ける場合があります。

その名を冠したヴィーガンレザーは、動物を使わずに本物の天然皮革に似せて作られた合成皮革です。植物から作られる植物皮革もヴィーガンレザーに含まれます。環境や生態系に配慮されており、本革特有の水や汚れへの脆弱性もないので、ファッション業界でも話題になりつつあります。

関連記事:ヴィーガンレザーとは?軽量で耐久性にすぐれた注目の新素材

なぜ、エコレザーが注目されている?

エコレザーが急速に注目されるようになったのは、環境配慮の広がりが一因です。世界的な経済活動の拡大にともない、地球温暖化、海洋汚染、水質汚染といった環境問題が深刻化しています。地球資源もものすごいスピードで消費が進んでおり、主な地球資源の耐用年数は石油が46年、天然ガスが59年、ウランが106年、石炭が118年と、近い将来エネルギー不足が懸念されます。

2015年の国連サミットでSDGs(エスディージーズ)が採択されました。SDGsには全部で17の目標、169のターゲットが設定されています。

エコレザーは、環境汚染の負荷を軽減し、再利用可能で人体にも害がないということから、多くの有名ブランドが積極的に取り入れ始めています。

ヴィーガンレザーの種類

エコレザーと同じく、環境負荷の低い革がヴィーガンレザーです。昨今は素材の開発が進み、ユニークなヴィーガンレザーが登場しています。その一部をご紹介します。

ピニャテックス

ピニャテックス(piñatex)はパイナップルの葉から作られる植物性レザーです。ロンドンの会社「Ananas Anam」が作っています。

フィリピンでは、パイナップル収穫にともなって、毎年およそ何千トンのパイナップルの葉が廃棄されていました。その現状をどうにかできないかと考えたAnanas Anamの創業者カルメン・ヒホサ(Carmen Hijosa)が長年研究を積み重ねた末に生み出したのが、このピニャテックス(piñatex)です。やわらかく強靭性もあるこの革は、今や80ヵ国以上のファッションブランドで使用されれています。

サボテンレザー

メキシコの企業「ADRIANO DI MARTI」が開発した「Desserto(デザート)」は、サボテンを原料とするサボテンレザーです。サボテンの表皮はごつごつしていて固く、本革のようにしっかりとした手触りを楽しめます。また摩擦に強く耐久性が高いのもメリットです。

さらにサボテンは二酸化炭素をよく吸収し、生育にもあまり水がいらないため、とてもエコフレンドリーな素材といえるでしょう。

関連記事:サボテンレザーとは|サステナブルな未来を実現する新素材

グレープレザー

ミラノのスタートアップ企業「VEGEA(ベジェア)」が開発した人口皮革「VEGEA(ベジェア)」は、ブドウの搾りかすから作られたグレープレザーです。

オーナーのジャンピエロ・テッシトーレ(Gianpiero Tessitore)が、フェイクレザーとも異なるサステナブルな革素材の研究を始めたことをきっかけに作られました。蒸留所と協力し、酒の製造過程で出るブドウの搾りかすにオイルを混ぜて、コットン生地に塗って作ります。

エコレザーの寿命

革のなかで寿命が長いのはもちろん本革です。きちんとお手入れをすれば10年以上使い続けることができます。フェイクレザーはあまり長持ちせず、1、2年ほど使ったら表面もはがれ始め、劣化してくると言われています。

エコレザーは本革をもとに作られているので、フェイクレザーよりは長持ちします。お手入れや使用頻度にもよりますが、だいたい3年使うと劣化して革表面にべたつきが発生してくるようです。

エコレザーのお手入れ方法

エコレザーの基本的なお手入れは、本革と同じやり方でOKです。普段は乾いたやわらかい布で、軽く革表面のほこりを落とす程度で十分です。革表面の乾燥や汚れが気になってきたら、数ヶ月に一度クリームでお手入れしましょう。

エコレザーは本革の切れ端と樹脂類を配合して作られているため、オイルやクリームの性質によっては樹脂に合わないものもあります。必ず商品に同封されている説明書や注意書きを参照しましょう。

まとめ

限りある地球資源を守るために、今後は再利用可能・地球環境にやさしいエコレザーのような素材が注目されるでしょう。次に革製品を購入する際は、ぜひエコレザーも候補に入れてみてはいかがでしょうか。



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