かばん、財布、洋服など幅広い利用されるホースレザー。つやとしなやかさを持ち、使い込むほどに味わい深くなる特徴を持っており、大人の男性を中心に人気が高い革です。ホースレザーといっても、いくつか種類があり、それぞれお手入れ方法や特徴が異なります。本記事では、馬革(ホースレザー)が持つ特徴や種類について解説いたします。
馬革(ホースレザー)とは?
馬の革と書いて「ばかく」と読みます。馬は運動量が多く、牛に比べると脂肪分が少ないです。薄く強度があるのが特徴です。世界的に馬全体の生産数が減少傾向にあるため、非常に希少な革として知られています。
日本の馬革(ホースレザー)の歴史
人間と革の歴史はとても古く、縄文時代にはすでに動物の皮を利用して生活に使っていた痕跡があります。古墳時代には、朝鮮半島南西部にあった国家、百済(くだら)から渡来した人たちにより、日本に革を加工する技術が伝えられました。そのあと高麗(こうらい)より革工集団の熟皮高麗(かわおしこま)が渡来し、馬や牛などの革を製造し始めました。
平安時代に発行された延喜式(えんぎしき)という古代法典に、馬革の記述があります。この頃の馬革は、弓を射るときに手首を保護する鞆(とも)にも使われていました。ちなみにこの延喜式で皮革の産地として記されていた兵庫県の播磨(はりま)は、姫路を中心に今も有名な革づくりの街として知られています。
室町時代には、具足(ぐそく)と呼ばれる甲冑の胴体にも馬革が使われていたようです。 江戸時代には、皮から革を作り出す製革技術の基礎が作られたと言われています。この頃作成されたのが止戈枢要(しかすうよう)という産業の百科事典のような書物です。ここにも、馬の皮を川にさらしたり、塩や菜種油を揉みこんで天日干ししたりして、革にするなど革の製造法が記載されています。
馬革(ホースレザー)の特徴
薄くやわらかい
馬革(ホースレザー)の特筆すべき性質は、その柔軟性です。他の動物に比べて運動量も多く筋肉質な馬の皮は、身軽に動けるよう、薄くやわらかくできています。革の厚みや強度では牛革に劣りますが、やわらかい革は扱いやすく重宝されます。財布だけではなく、家具や衣服などにも使われています。
水に弱い
ホースレザーは水に弱い性質を持っています。そのため、雨などで水濡れしてしまうと、色落ちしたり、水スミ・水ぶくれになることがあるため注意しましょう。
馬革(ホースレザー)の種類
馬革(ホースレザー)は部位や作り方によってさまざまな種類があります。それぞれの特徴を解説します。
ホースフロント
ホースフロントは馬の首を使った革です。若い馬の皮を使うことが多いため、キメが細かくなめらかです。その質感を活かし、ジャケットなど衣服に使われています。繊細な素材であるため、摩擦の多い財布にはあまり向いていません。
ホースハイド
ハイド(hide)とは大きな動物のこと。その名のとおり、成馬の胴体部分からとれる革です。やわらかくて伸びがよく革自体に大きさもあるので、革張りのソファーなどの家具に使われています。牛革と比べると密度が低く耐久性はやや劣ります。
ホースヌメ
馬革(ホースレザー)のなかでも特に人気の高いホースヌメ。天然の植物性なめし剤(主にタンニン)のみを使ってなめした革に、蜜蝋をしっかり塗りこみます。軽く揉みこむことで生じる革の表面のちりめん状の細かいシワは「シボ」と呼び、革本来の美しさの象徴です。時間経過によって、塗りこんだオイルが革に浸透するため、使うほどに経年変化(エイジング)を楽しめます。
ポニーレザー
ポニーとは特定の馬の品種ではなく、体高が147㎝以下の小柄な馬の総称です。牛革と比べるとおよそ半分の重量しかないので、軽い財布やバッグを求めている方にはポニーレザーがおすすめです。やわらかい手触りも人気のポイントです。
コードバン
主にヨーロッパにいる農耕馬の臀部からとれる革です。農耕馬の数が多くない上に、一頭から採取できる部分は少なく、非常に希少価値が高いです。牛革の3倍の強度を誇り、なめらかで艶のあるさまから、「革のダイヤモンド」「キングオブレザー」と呼ばれています。
関連記事:コードバンとは|手入れとエイジング(経年変化)【水ぶくれ・毛羽立ち・色あせ等】
コードバンのなかでも最高級と言われているのが、1905年に創業したアメリカの老舗タンナー、Horween(ホーウィン)社が開発したシェルコードバンです。このコードバンは植物性のタンニンでなめされ、そのあとじっくり時間をかけてオイルをなじませています。たっぷりと塗りこまれたオイルのおかげで、しっとりとなめらかな感触が生まれます。長く使うほど革の色や質感の経年変化(エイジング)を楽しめます。
関連記事:シェルコードバンとは|エイジングやタイプ別手入れの方法について
馬革(ホースレザー)のお手入れ方法
馬革(ホースレザー)のお手入れは簡単です。基本的には革表面についたほこりや汚れを、乾いたクロスや布でさっと拭くだけでOKです。メガネ拭きのような、細かい起毛があるやわらかなクロスがおすすめです。馬革(ホースレザー)は薄く繊細なため、頻繁なお手入れは逆に革を痛めてしまう恐れがあります。
革がパサついてきたな……と感じたときは、革製品専用のクリームを塗るといいでしょう。クリームにもさまざまな種類がありますが、馬革(ホースレザー)のお手入れにおすすめなのは「デリケートクリーム」です。繊細な本革に適したクリームで、馬革(ホースレザー)にうるおいを与えます。革に押し付けたり刷り込むようにする必要はなく、革表面にさっと塗るだけで問題ありません。クリームが乾いたら、クロスで乾拭きして完了です。
ちなみに馬革(ホースレザー)は、熱や水に弱い性質があります。濡れたらすぐに拭いて水分をとる必要がありますが、ドライヤーや直射日光といった熱にさらされると傷みを早めるので注意しましょう。
CRAFSTOが提供するホースレザー製品について
奥深い馬革(ホースレザー)の世界、いかがでしたか?馬革(ホースレザー)は、知れば知るほど興味深く魅力的な素材です。日を増すごとに手になじむなめらかさとそのやさしい感触は、自分だけの大切な逸品となるでしょう。
CRAFSTOでは、ホースレザーの中でも「革のダイヤモンド」「キングオブレザー」とも称されるシェルコードバンの製品を取り扱っています。自分好みの馬革(ホースレザー)の製品を見つけて、ぜひ長く愛用してあげてください。
Shell Cordovan シェルコードバン 長財布
SHELL CORDOVAN シェルコードバン 名刺入れ
シェルコードバンを惜しみなく使った名刺入れ。内側にはイタリアの老舗タンナー Lo Stivale(ロ・スティバーレ)社の「ブルガロ」を使っており、内側と外側でそれぞれ異なる美しさを楽しめます。メインホルダには40枚以上の名刺を収納できます。たくさん入れても型崩れしないように設計されているため、長く愛用いただけます。
Shell Cordovan シェルコードバン 二つ折り財布
シェルコードバンは、アメリカの老舗タンナー「Horween(ホーウィン)」社が長年作り続ける馬革です。希少部位から手間と時間をかけてつくられるこの革は、宝石のようなキラキラとした輝きが魅力です。 シェルコードバンはやわらかいため、開閉の多い二つ折り財布で傷まないよう、負荷のかかる箇所は重点的に補強しています。ブライドルレザーの二つ折り財布と同じく、使いやすい小銭ポケットや隠しポケット、仕切りつきの札入れなど、スリムながら高い機能性を兼ね備えています。
シェルコードバン フラグメントケース【5POCKETS】
キャッシュレス時代を象徴する次世代のお財布「フラグメントケース」。薄さわずか1.1cmとミニマルな装いでありながら、マチを広くとっているため、小銭を多く収納できます。
また、外側には4箇所のカードホルダーも。いざというときのためにカード類や小銭も持ち歩きたいという方におすすめのアイテムです。