本革の製品を使う楽しみのひとつがエイジング(経年変化)です。革を育てる喜びを味わえるエイジング(経年変化)とは一体何か?今回は革のエイジング(経年変化)について解説します。
革のエイジング(経年変化)とは?
時間経過とともに革の色味や質感に起こる変化です。革表面の色味が深く変色したり、ツヤが出たりします。また、質感では硬かい革がやわらかくなります。
エイジング(経年変化)は革の種類や使い方によって異なるため、革製品ごとにオリジナルのエイジング(経年変化)を楽しめます。
ちなみにこのようなエイジング(経年変化)が起こるのは、あくまでも本革の製品に限り、人工皮革(フェイクレザー)では起こりません。(一部、なめし方によってはほとんど変化が起こらない本革の製品もあります)
革でエイジング(経年変化)が起こる理由
そもそもエイジング(経年変化)はなぜ起こるのでしょうか?
大きな要因がタンニンです。革を作る際、原皮(げんぴ)を腐敗させずに革にするにはなめす工程が必要不可欠です。
なめしには2種類あります。化学薬品を使ってなめす「クロムなめし」と、植物性タンニンを使ってなめす「タンニンなめし」です。後者のタンニンなめしでは、ミモザやチェスナッツなどの樹木が使われます。
タンニンには渋(しぶ)が含まれており、時間が経つにつれて変色します。 切ったレンコンやりんごを放置すると変色するのは、このタンニンの渋の影響によるものです。
タンニンのほかに、革に染み込んだオイルもエイジング(経年変化)の要因になります。温度変化で革表面にオイルが染み出すことで、革表面のツヤが増していきます。
エイジング(経年変化)の種類
エイジング(経年変化)といっても、その変化はさまざまです。色、形、光沢、重さでそれぞれ解説します。
色の変化
もっともわかりやすいエイジング(経年変化)が色です。特に、植物性タンニンなめしの革やオイルレザーは色味の変化が起こりやすいです。
ヌメ革は生成っぽいベージュ色ですが、使ううちにオレンジがかった飴色に変化します。
ブライドルレザーも顕著な色変化があります。革を頑丈にするために表面にはロウが塗られています。それが時間経過とともに薄れていき、深みのある革本来の色味に変わります。
形の変化
革は使ううちに柔らかくなります。カードや小銭を入れたり、バッグやお尻のポケットに入れて持ち歩いたりすることで、負荷がかかり、形が変わっていきます。
光沢の変化
使い込むうちに革表面にオイルが滲んできてツヤが表出します。ケアやお手入れ次第では、鏡のように美しいツヤを出すこともできます。
重量の変化
お手入れクリームを使用したり、湿気の多い場所で保管したりすることで、少しずつ油分や水分が溜まり、革の重量が増えます。
シェルコードバンのエイジング例
ブライドルレザーのエイジング例
良いエイジング、悪いエイジング
エイジングには、大切に使うことで生まれるエイジング(良いエイジング)と、間違った使い方によって生じたキズ(悪いエイジング)の2つがあります。
良いエイジング(経年変化)
- ツヤとうるおいがある状態
- 色に深みがある
まず良いエイジング(経年変化)とは、革自体にツヤとうるおいがある状態です。人間の肌と同じく、革もケアをしないと乾燥していきます。それが悪化するとひび割れにつながります。革全体のうるおいを維持できていることが、理想的な状態と言えるでしょう。
悪いエイジング(経年変化)
- 乾燥してひび割れている状態
- シミやムラがある
- カビが生えている
- コゲがある
- 変形している
革は乾燥に弱く、お手入れせずに長年使い続けていると、やがてひび割れが発生します。ひび割れが起こると、完全な修復は難しくなります。
また革は水分に弱く、雨や汗など水に濡れた状態で放置すると、すぐにシミや色ムラになって残ってしまいます。通気性の悪い場所で保存すると、カビが生えてしまうこともあります。保管場所には十分注意しましょう。
きれいに美しくエイジング(経年変化)させる使い方・手入れ
では、美しくエイジング(経年変化)させるにはどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。使い方や手入れ方法についていくつかご紹介します。
手で触れる
革製品をきれいにエイジングさせるためにもっとも大切なことは、毎日手で触れることです。手や指先の表面に含まれる油分が革表面になじむことが、お手入れやケアの代わりになります。ぜひ大切な革製品は、定期的に触れてあげてください。
湿気が少ない場所で保管する
充分に汚れを落としたうえで、湿気のこもらない風通しが良い場所に保管しましょう。 汚れが残ったまま保管したり、湿気がこもる場所に置いたりするとカビが発生する原因になります。
ズボンの後ろポケットにはしまわない
ズボンの後ろポケットに財布やキーケースなどの革製品をしまう方も多いですが、できれば避けましょう。後ろポケットに入れたまま座ると、一部分に体重がかかって歪に変形します。特に、夏場だと汗が溜まりやすく劣化を早める原因になります。
雨濡れしたらすぐに拭く
革は水濡れに弱いです。濡れたまま放置すると、水シミや水ぶくれができてしまいます。雨の際には、雨が染み込まない内ポケットにしまう、袋に入れて密閉するなど、濡れないような対策をすることも重要です。
CRAFSTOが提供する革製品について
Bridle Leather ブライドルレザー ラウンドファスナー長財布
1840年創業の英国の老舗タンナー「Thomas Ware&Sons(トーマスウエア&サンズ)」社のブライドルレザーを使用。使い込むうちに白く霜のようなブルーム(ロウ)が薄くなり、本来の革の色味に変化していきます。ラウンドファスナーでは外せないファスナーは、YKK社の「EXCELLA(エクセラ)」を採用。度重なる開閉でもスムーズな使い心地です。2箇所の札入れ、中央にあるマチ付きの小銭入れ、そして側面に計8ヶ所設置されているカードホルダーと収納も申し分なしです。
Shell Cordovan シェルコードバン 長財布
表面の革素材は、ホーウィン社のシェルコードバン、内装にはLo Stivale社(ロスティバーレ)のブルガロレザーを使用。フラップ(かぶせ)の裏側に6つのカードホルダー、領収書も収まる4つのフリーポケット、札入れ側には4つのカードホルダー、ファスナー付きの小銭入れを配置。カード、小銭、お札などバランス良く収納したい方にぴったりのアイテムです。
Bridle Leather 製ブライドルレザー ファスナー小銭入れ
片手に収まるコンパクトなボディでありながら、収納力は抜群。小銭入れのほか、3ヵ所のカードホルダーも配置。
ラウンドファスナー型だから、大きく開いて中身が見やすく、使い勝手は申し分なし。 小銭入れポケットも仕切りがついているため、小銭の種類ごとに分けて収納できます。
本体には、うっすらと革表面に浮かび上がる白いブルームが美しい、ブライドルレザーを使用しています。
使い続けるほどにやわらかくなり、ブルームが薄れていくさまはブライドルレザーならではの醍醐味。ぜひ長く使って変化を楽しんでみてください。