イタリアンレザー ネブラスカ

イタリアンレザーの経年変化とは|伝統製法によって作られる革

イギリスのブライドルレザー、アメリカのシェルコードバンと並び、世界三大レザーのひとつにも数えられるイタリアンレザー。今回はその魅力を徹底解説します。 

イタリアンレザーとは?トスカーナで作られる革

イタリアンレザーとは、トスカーナ州を中心に生産された皮革です。特に、トスカーナ州サンタクローチェ地区は高品質な革が集まる場所とされ、著名なタンナーが軒を連ねます。

トスカーナ州で製造されたものはすべてイタリアンレザーというわけではなく、下記の3つの認定基準をクリアする必要があります。

  • 定められた植物性のタンニン(ベジタブルタンニン)なめしの製造工程の遵守
  • 化学物質や重金属ではなく、植物の抽出成分のみを使ってなめすこと
  • 革の主要工程はトスカーナでおこなうこと

このすべての基準を満たすと、「PELLE CONCIATA AL VEGETABLE IN TOSCANA(トスカーナ産植物タンニンなめし革)」の商標が与えられ、イタリアンレザーとして認められます。

イタリアンレザーの歴史

地中海に面したイタリアは、海の向こうのアフリカや中東諸国との海外貿易がさかんでした。そのためさまざまな革がイタリアに輸入されました。革を加工し諸外国に輸出するようになると、イタリア国内での革加工の技術はさらに発展していきました。

イタリアンレザーの特徴である植物性のタンニン(ベジタブルタンニン)なめし製法の歴史は古く、紀元前8世紀頃にヨーロッパに伝わったといわれています。その後、14世紀にフィレンツェを中心に現在のイタリアンレザーのもととなる技術が生まれました。当時のフィレンツェには既に革職人の組合も存在し、金唐革(きんからかわ)という装飾革も誕生しました。

また後述するイタリアンレザー独自の製造方法「バケッタ製法」も、ちょうどこの頃生み出された方法です。それから何世紀にわたり、イタリアのタンナーたちはこの伝統の製法を守り続けています。

イタリアンレザーの特徴

イタリアンレザーの特筆すべき3つの特徴をご紹介します。

主に牛革を使用

イタリアンレザーでは、基本的に牛革(カウレザー)を使用します。美食大国イタリアでは、タリアータ(牛肉のイタリア風ステーキ)や、スペッツァティーノ(牛肉の煮込み)など、牛肉を好んで食べるため、牛革(カウレザー)の供給も安定しています。

関連記事:牛革(カウレザー)の特徴|種類や手入れ方法について

バケッタ製法で作られる

vaqueta(バケッタ)とはカタルーニャ語で「牛」を意味します。通常、革のなめしには塩基性硫酸クロムという化学薬品が使われます。クロムなめしだと、時間をかけず効率的に革をなめすことができます。 一方バケッタ製法では、化学薬品を使わず、植物性のタンニン(ベジタブルタンニン)のみ使用します。じっくり時間をかけて、牛革(カウレザー)に植物性のタンニン(ベジタブルタンニン)を手作業で浸み込ませます。

関連記事:イタリアで古くから伝わるバケッタレザーとは|エイジング(経年変化)が楽しめる皮革

オイルを染み込ませる

イタリアンレザーはオイルをたっぷり浸み込ませたオイルレザーです。オイルがしっかり浸み込むことで革質がやわらかくなり、オイル特有のしっとりとしたツヤがでます。イタリアンレザーには牛の脚の骨からとれる牛脚脂(ぎゅうきゃくゆ)というオイルを使用します。 永く使えば使うほどオイルが浸み込んで、色合いも変化し、イタリアンレザーならではの深みのある経年変化を楽しめます。

関連記事:オイルレザーとは|経年変化(エイジング)やお手入れ方法について

イタリアンレザーの種類

イタリアンレザーは、製法やタンナーにより、さまざまな種類に分かれます。タンナーごとにオリジナリティがあり、各老舗タンナーの深いこだわりを感じさせられるものばかり。それぞれの違いを比べて、自分好みのイタリアンレザーを探してみましょう。

プエブロ

バダラッシカルロ社(Badalassi Carlo)」によって製造されているイタリアンレザーです。プエブロの特徴はその革表面の質感です。あえて革表面をこすって毛羽立たせ、ざらつきのある仕上がりになっています。他のイタリアンレザーよりも経年変化が早く、使ううちにざらつきは減り、美しいツヤと色合いを楽しめます。

ミネルバボックス

同じくバダラッシカルロ社製の革です。minerva(ミネルバ)とはローマ神話で芸術や工芸をつかさどる女神の名です。ミネルバボックスの特徴は、豊かなシボ(革特有のシワ)加工です。使うほどに色味が深くなり、ツヤが出ます。

ミネルバリスシオ

同じくバダラッシカルロ社製の革です。liscio(リスシオ)はイタリア語で「なめらか、スムーズ」の意味があります。その名のとおり、シボが少なくなめらかで、前述のミネルバボックスとは対照的です。すべすべとして、ずっと触っていたくなるような触り心地です。

ブッテーロ

「牛革の王様」といわれるブッテーロ。こちらは老舗タンナー、ワルピエ社製です。ブッテーロには希少部位の牛の肩の革(ショルダー)が使われます。肩の革は密度が高く、しっかりとしたハリがあります。また、植物由来の染料が使われており、美しい色合いも魅力です。

アラスカ

ラ・ペルラ・アッズーラ社(La perla Azzurra)という老舗タンナーのイタリアンレザーです。フランス産の原皮を使用します。アラスカの特徴は表面のロウ加工です。ホワイトワックス(ロウ)を革表面に吹き付けて浸透させます。使ううちにホワイトワックス(ロウ)が薄れ、革本来の美しい色合いに変化します。また、シボ加工が施されているため、ナチュラルな細かいシボの質感も楽しめます。

エルバマット

テンペスティ社(TEMPESTI)が作るELBAMATT(エルバマット)は、しっとりと吸いつくような質感が人気のイタリアンレザーです。牛脂と魚脂を独自に配合したオイルを通常の2倍かけてじっくり浸み込ませます。これは、エルバマット製法と呼ばれ、テンペスティ社の特許技術です。

ネブラスカ

ロ・スティヴァーレ社(Lo Stivale)社製のレザーです。ナチュラルなしわとシボ、さらに手にやわらかくなじむ質感が特徴です。シボ加工により革表面には自然なツヤも出るので、革本来の自然な風合いを味わうことができます。

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ブルガロ

同じく、ロ・スティヴァーレ社製のレザー。ネブラスカはしわとシボ加工が特徴的なシュリンクレザーですが、ブルガロはしわやシボのないスムースレザーです。革表面はつるんとした質感で、キメが細かくなめらかです。

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イタリアンレザーのお手入れ方法

製造過程でオイルを浸み込ませているため、オイルの塗布は使い始めは不要です。使い始めは、乾いた布で革表面を軽く拭きとるだけでOKです。

傷がついたら

小さな傷であれば、指や布で軽く揉み込んであげると目立ちにくくなります。

汚れが目立ってきたら

表面のホコリを専用のブラシで取り除いたあと、革用の汚れ落としクリーナーを使用します。ちなみに、当社で取り扱っているネブラスカの製品は、乳化性または油性の無色で、。革の栄養補給を目的とした革用クリームによるケアを推奨しています。頻度は1〜2ヶ月が目安です。ただし汚れ落としの成分を含む製品の使用はお控えください。

雨に濡れてしまったら

万が一、雨に濡れてしまった場合は、濡れた部分を乾いた布で拭きとり、陰干しして乾かします。本革は熱に非常に弱いため、直射日光に当てて乾かすのはやめましょう。

CRAFSTOが提供するイタリアンレザーを使用した製品

永い年月をかけて現代まで受け継がれた素晴らしい革を、ぜひあなたのコレクションに加えてみてください。その繊細な美しさは、きっと毎日に彩りをそえてくれるでしょう。

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