牛革(カウレザー)の特徴|種類や手入れ方法について

突然ですが、結婚3年目のお祝いを何と呼ぶかご存じでしょうか?答えは「革婚式(かわこんしき)」。革は永く愛用するほどに味わいが出て、強度が増すからだそうです。時間が経つほど魅力的になる本革の面白さ。今回は本革のなかでも不動の人気を誇る牛革(カウレザー)をご紹介します。

 

牛革(カウレザー)とは?

牛革は英語で「カウレザー(cow leather)」と書きます。「cow」は「雌牛」もしくは「乳牛」を意味します。食肉として使われた雌牛の皮を使うので、生産量は常に安定しており、非常にポピュラーな革です。

牛革(カウレザー)は、はるか昔から日本でも使われていましたが、もともとは北アメリカで加工技術が発達し普及しました。北アメリカでは牛肉を食べる機会が多かったのが理由の1つです。肉から皮のすみずみまで牛の体を無駄にしない、牛への敬意と先人の知恵が今も続いています。

今日本国内で流通している牛革(カウレザー)は、北アメリカやオーストラリア産のものが約8割を占めています。日本国内でも、「地生(じなま)」と呼ばれる国産牛革がありますが、生産量はごくわずかです。もっとも上質とされているのがイタリア、フランスなどのヨーロッパ牛革です。高品質で、欧州のメゾンブランドの製品にも使われています。

牛革(カウレザー)の特徴

続いて牛革(カウレザー)の特徴を見ていきましょう。

とても丈夫

特筆すべきは丈夫さです。牛革(カウレザー)は銀面(ぎんめん)と呼ばれる革の表面が平たく滑らかに整っており、皮膚の繊維組織が均一になっています。このため強度や耐久性があり、さまざまな加工にも展開しやすいのです。

経年変化の楽しみ

「経年変化」とは、年月が経つにつれて現れる色合いや質感の変化です。エイジングとも呼ばれます。永く使っていくなかで、表面に塗られたオイルや手アカなどの油分が革に浸透し、少しずつ色合いや艶に変化が生まれます。その変化はまさに世界で1つだけのオリジナル。革製品と持ち主が一緒に過ごした時間を反映する経年変化は、牛革(カウレザー)製品を持つ大きな楽しみです。

水には弱い

牛革(カウレザー)はじめ、本革全般の弱点は水です。濡れたまま置いておくと、そのままシミになったり変色したりしてしまいます。牛革(カウレザー)製品を買ったらしっかり防水スプレーをかけてガードしましょう。念のため、まずは目立たない箇所で試すことをおすすめします。また、タンニンなめしの革では、シミや変色を起こす可能性があるため、注意が必要です。

牛革(カウレザー)とラム革の違い

ラム革(羊革)は、やわらかさを活かしてジャケットや手袋などによく使われています。牛革(カウレザー)は革が厚く耐久性に優れているため、ライダースジャケットに使われることが多いですが、ラム革はやわらかく軽いため、レディースを中心に普段使いの服装に使われます。

 

牛革(カウレザー)の種類

ひとくちに牛革(カウレザー)といっても、部位やランク、加工方法によって種類はバラエティーに富んでいます。それぞれの特徴を比較し、自分にぴったりの牛革(カウレザー)を見つけてみましょう。

ハラコ

ハラコは漢字で「腹子(はらこ)」、英語では「unborn carf」といいます。「unborn」とはまだ生まれていないという意味で、早産や死産した子牛の革がハラコになります。ハラコの皮はやわらかく長い毛で覆われており、傷もほとんどありません。生産量は極めて少なく、貴重な高級素材です。

キップスキン

「kip(キップ)」とは「小さな獣の皮」を指します。キップスキンは生後6ヵ月~2年目くらいの若い牛の皮から作られます。まだ若い子牛なのでキメが細かくなめらかですが、成牛の革に比べるとあまり厚みはありません。牛革(カウレザー)のなかではカーフレザー(カーフスキン)の次に高価で、高級ブランド製品にもよく使われます。

カーフレザー(カーフスキン)

牛革(カウレザー)のなかでも最高級の品質と名高いカーフレザー。カーフスキンと呼ぶこともあります。「calf(カーフ)」とは生後半年以内の子牛で、成牛に比べて非常にきめ細かくなめらかな質感が特徴。子牛自体の体が小さいため採取量が少なく、希少価値が高い革です。薄くて傷もつきやすく繊細なので、定期的なお手入れが欠かせません。

ヘアカーフ

そのカーフレザー(カーフスキン)のなかでも特に上質で高級なのがヘアカーフです。「hair(ヘア)」は「毛」の意味で、その名のとおり毛がついた状態の革です。また生後6ヵ月以内の子牛の皮を使うので数が少なく、あまり市場に出回りません。しっとりとなめらかな毛並みは子牛ならではの気持ちよさです。

ステアハイド

生後3~6ヵ月のときに去勢して2年以上経った雄の成牛の革です。牛革(カウレザー)のなかでも供給量が多く、とても需要がある人気の革です。革の厚みが均一で面積も大きく、強度も耐久性もあるよいことづくめの革素材で、バッグや財布、ジャケットなどさまざまな製品で使われています。

カウハイド

ステアハイドとは逆に、去勢されていない生後2年以上の雌牛の革をカウハイドと呼びます。やわらかく強度もあるので、こちらもとても人気のある革です。「ブライドルレザー」もこのカウハイドから作られています。ブライドルレザーは、1000年以上も前からイギリスで製造されている革で、ロウを何度も塗りこみ艶を出しています。新品時では、革の表面に塗りこんだロウが白く浮き上がる「ブルーム」が見られますが、使い続けるうちにブルームは落ちて、光沢が出て色は深みが増していきます。

関連記事:革の知識:ブライドルレザーについて

ブルハイド

ブルハイドは、生後3年以上の去勢されていない雄牛の革を指します。ちなみに、ブルハイドの「bull(ブル)」は「雄牛」を指します。分厚くて繊維が太く、固めの革質が特徴です。その強靭性と耐久性を活かして、靴底や工業用ベルトなどに使用されています。去勢されていない雄牛は気性が荒く、雄同士で戦うこともあり、革の表面に傷がついていることがあります。

バッファローレザー

バッファローは沼地や川などの水辺に生息しているため、革にしては珍しく耐水性があるのが特徴です。また、油分を多く含み、他の牛革(カウレザー)よりもさらに深いエイジングを楽しめます。ぜひ毎日たくさん触れて使い込んであげたい革です。

 

牛革(カウレザー)のお手入れ方法

経年変化こそ、牛革(カウレザー)製品を使う醍醐味です。味わい深い革にするために、普段のお手入れは欠かせません。耐久性もあり頑丈な牛革(カウレザー)ですが、大敵は乾燥です。毎日使って乾いてくるとなめらかさを失い、パサつきが気になってきます。人間の肌と同じように、水分と油分を補給してうるおいを取り戻す必要があります。難しそうなお手入れも、過程とコツをつかめば簡単!大切な牛革(カウレザー)製品を永く使うためにぜひ覚えておきましょう。基本的なお手入れ方法は下記の3ステップです。

1.ブラッシングをする(ほこりを落とす)

毎日使う革製品の表面には、意外とチリやほこりが付着しています。まずはそれらをブラシで軽く払い落とします。ブラシにはさまざまな種類がありますが、ほこり落としにおすすめなのが馬毛のブラシです。毛足が長くコシのある馬の毛(基本的にたてがみ)でできたブラシは、革表面のほこりを落とすのに適しています。

2.クリームを塗る(油分と水分を補給)

ブラッシングのあとは、いよいよ大事な油分と水分の補給です。工程としては、クリームを塗り、乾いた布で拭きとるだけです。まずは、皮革用のクリームを革表面に塗ります。クリームにもいろいろな種類がありますが、ものによっては革の種類に合わず変色させてしまうものもあるので、注意が必要です。使う前に必ず目立たない部分に試し塗りしましょう。 乾いた布にクリームをつけ、やさしく革表面に塗っていきます。布は、メガネ拭きのようなやわらかい起毛クロスがおすすめ。クリームが浸透することで油分や水分が革にいきわたり艶がよみがえるので、まんべんなく全体に塗ります。ゴシゴシと力を入れて塗りこむ必要はありません。より丁寧にするのであれば、クリームを塗ったあと豚毛ブラシでブラッシングするのもおすすめです。馬毛より固い豚の毛で強めにブラッシングすると、クリームがより革内部に浸透します。
クリームが塗れたら、再度乾いた布で全体を乾拭きし、革表面に残った余分なクリームを拭きとりましょう。

3.防水スプレーをかける(汚れとぬれ防止)

革から30cmくらい離れた場所から、防水スプレーをかけます。手を触れてしまうと痕がついてしまうので、自然に乾くのを待ちます。乾いたら再度全体にスプレーすると、より防水効果が強まるので安心です。 防水スプレーは、牛革、馬革などの革製品やエナメル、ベロアなど表面加工によって、さまざまなタイプがあります。適切なものを選びましょう。また、防水スプレーを使うさいは必ず目立ちにくい箇所に使い、問題なければ全体に使うようにしましょう。


牛革(カウレザー)のお手入れの頻度

お手入れの頻度は、毎日やるなら1のみで十分です。1ヵ月に1度ほど2、3のお手入れも加えて、大事にメンテナンスしましょう。革と付き合う楽しみの一つとして、ぜひていねいにお手入れしてみてください。

牛革(カウレザー)の世界、いかがでしたか? ちょうど革婚式を迎える方も、もちろんそうではない方も、大切な方や自分自身に牛革(カウレザー)製品を贈ってみてはいかがでしょうか。使い続けるからこそ味わえる牛革(カウレザー)の魅力に、きっとトリコになりますよ。

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